まずは、価格。専門書レベルのプライシングで相当高く感じる。
ざっと見ると、これは田口氏のポリシーであろうが、ほぼ全てがカラー印刷である。
見易く豪華ではあるが、せめて半分の72ページを4C(4色使い)として、
残りを1C(1色使い)とすれば、制作費も抑えられ、価格ももっと抑えられたであろう。
無理に4Cにする必要はないのである。
無論、欲しい人は価格がいくらであろうと絶対に買う、図書館には絶対に入る、
等の市場判断があるので、版元はこうした強気の価格を得てしてつけてしまいがちだ。
しかしながら前著は2,940円(税込)であったので、読者にとっては
なぜ同じ価格にならなかったのか疑問が残る。
恐らくNHK出版の強気な戦略がそこにはあり、推察すると、
私が持っている前著『珈琲大全』の奥付を見ると、
2009年2月に発行された第6刷のもので、初版は2003年11月なので、
ほぼ毎年増刷していることとなり、この手の本としては良く売れているといって
よいであろう。
そしてスペシャルティコーヒーの時代が到来し、日本のコーヒー業界を
商業的に、文化的に牽引してきた田口護氏が満を持して上梓するのだから、
また、
堀口俊英氏の『珈琲の教科書』[LINK]が何万部売れているのだから、
これは初版2万は固い、などというNHK編集担当者の試算があったのであろう。
私が編集者なら、カラーページを減らしてコストを減らし、価格を抑える。
前著と同じ2,940円とし、そのかわり、売上目標は3,780円で4万冊ではなく、
2,940円で5万冊とする。その方が読者には優しく、企業の利益確保も同じなのである。
さて、内容だが、目次を見てみると、
第1章 知識編
スペシャリティコーヒーの全て
1.スペシャルティコーヒーとは
2.スペシャルティコーヒーが市場に出るまで
3.スペシャルティコーヒーのおいしさとは
第2章 技術編
スペシャルティコーヒーの焙煎
1.システム珈琲学
2.スペシャルティコーヒーの4分類
3.4タイプ別焙煎
4.スペシャルティコーヒーの焙煎度
5.焙煎のストライクゾーン
6.スペシャルティコーヒーの特性を生かす焙煎
7.焙煎のケーススタディ
8.カップテスト
9.スペシャルティコーヒーの抽出
第3章 実践編
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